哺乳瓶のゲームメモ#3 『Armikrog』

「ゲームはアート」という認識。

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 クレイマン・クレイマンというゲームをご存知でしょうか。

 クレイマン・クレイマンは1998年に発売されたクレイメーションのゲームです。クレイメーションとは粘土のアニメーションのことで、NHKで放映されていた『ニャッキ!』や『カペリート』なんかがそうです。それをそのままゲームにしてしまったのがクレイマン・クレイマン。言うなれば、プレイヤーがニャッキカペリートを操作出来るんです。粘土の世界観、素材感をそのままに。

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 クレイマン・クレイマンはBGMもとっても良いんですね。クレイマン・クレイマンと、その続編であるクレイマン・クレイマン2 ~スカルモンキーのぎゃくしゅう~で流れる楽曲は、Terry Scott Taylorというアメリカのミュージシャンの方が作曲しているんですが、彼の作る独特なカントリー調の音楽が凄く良いんです。ゲームの世界観を壊さずに、上手く調和している感じ。私の好きな楽曲、Klaymen's Themeを載せておきます。

 

 そんなクレイマン・クレイマンの開発に携わったスタッフの方々が、約20年の時を経て再集結、そして出来上がったのがArmikrog。「クレイマン・クレイマンの精神的後続作品」とも言われているようですね。

 粘土で作られた世界観、ニヒルで個性的なキャラクターたち(クレイマンはニヒルではないかもしれないですね)は勿論、Terry S. Taylor氏の楽曲も健在です。カントリー寄りではないけど、こっちもこっちで私は大好きです。


 クレイマン・クレイマンですが、注目すべきはゲーム開発のプロセスなんですね。粘土のゲームと言っても、粘土風に見えるCGで作っているとかそういう訳ではない。そのままの粘土を使っているんです。粘土を使ってるって、ゲームのステージとかはどうしてるの? と思われる方もいらっしゃると思うんですが、これに関してこんなエピソードがあります。

じつは、20年前のチームはそのような知識を持たないまま撮影に突入したため、なんと4トンもの大量の粘土を使い、本当に粘土だけでクレイメーションアニメのゲームを作ってしまったというエピソードが残されているのでした。

 

 クレイマン・クレイマンが全て粘土で、かつコマ撮りで制作されていたのに対し、Armikrogは粘土とCGの両方を上手く組み合わせて制作されている、というのを何かの記事で読んだことがありますが、それだとしても凄い努力だし面白い手法ですよね。Armikrogのストーリーや開発背景などはこちらの記事で詳しく読むことが出来ます。


 ここで思うのが「ゲームはアートなのか?」という問題なんですよね。Armikrogはクレイメーションゲーム。粘土だし表現も凄いし、プレイ画面に「絵」や「芸術」を感じる。Armikrogは言ってしまえば「アート・ゲーム」ですね。でもここで「待った」を言いたいんです。

 「ゲームはアートか」問題に関して、昔から言われていたような気がするんですが、結局どうなんでしょう。肯定派と否定派がいるんでしょうか。私は一応肯定派ですが、まだ何とも言えません。そもそもアートの定義って何? よく言われる「アート・ゲーム」ってじゃあ何なの? と思ってしまうんですよね。

 個人的な意見ですが、UIがシンプルなゲームが「雰囲気ゲーム」と呼ばれていて、その派生で、アーティスティックな方面に何かしら特化したものがアート・ゲームと呼ばれるのかなと思うんですが、アーティスティックな方面って結局どういうことなんだろうって思ってしまう訳です。

 身体的なインタラクティブ性を持つゲーム、例えばゲームセンターの格闘ゲームであったり、一方でVRゲーム、体感ゲームもそうですが、その中でも「美しい」「シンプル」「ミニマリズム」「カラフル」「独特」といった要素が一つでもあれば、アート・ゲームに成り得るのかもしれない。じゃあ格闘ゲームはアート・ゲームじゃないのか、と考えると、私はアート寄りなんじゃないかと思ってしまいます。UIとかが違うだけで、インタラクティブにゲームに関わるっていう行為が凄いなと思うんです。

 格闘ゲームにアート要素は無いのかもしれない。最近だとEverythingは(言葉に出来ないけど)めちゃめちゃ凄いなって思いました。EverythingのクリエイターであるDavid OReilly氏は、クリエイターというよりCGアーティスト的なイメージですが、それ抜きにしても、Everything的ゲームこそ「アート」と呼べるものだろうし、Everything的ゲームに散りばめられているものこそ、アートとして成り得る要素になるんだと思います。

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 でもPSVRインタラクティブ性が私は大好きです。バーチャルでSFな感じだけど、ゲームに私たち自身が干渉出来るって良いですよね。コントローラーのボタンを押してゲーム内に働き掛ける行為も面白いけど、それを人間の身体でやっちゃうのが凄くアートだな、未来だな、と思います。PSVRでプレイするバウンド:王国の欠片とか、個人的にアートの極みすぎて興奮します。

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 そういう訳で、ゲームセンターの格闘ゲームの身体性が凄く好きなんですよね。一種のアート、いや違うかも。アートと非アートの境目って何なんだと日々思っている訳で、Armikrogが「アート・ゲーム」である、と断定できる自信が私にはまだないんです。

 

 Armikrogですが、日本語には対応していないのでそれがちょっと残念です。というよりも、無理に翻訳しちゃうのもなんだか勿体無い気がしますね。英語字幕があるし、それで一応何とかなります。英語も簡単なので気になった方は是非プレイしてみて下さい。